バンクーバーのKindergarten(幼稚園)の入園手続き方法

バンクーバー幼稚園入園手続き

昨年の夏にカナダへ4歳児とともに越してきた我が家。バンクーバーのKindergarten(幼稚園)の入園手続きの全体の流れをまとめてみたいと思います。かなり細かく書いているので結構長めです。

こういった話は特に誰も教えてくれないし、市から案内が来るわけではないので、自分できちんと調べたり聞いたりして手続き方法とタイミングを把握しておき、行う必要があるというのが現実です。自分たち含め海外からの引っ越し組にはちょっと情報収集のハードルが高めですよね。これが少しでもこれからバンクーバーに来られる方や、子どもがこれから幼稚園に上がる日本人の方の参考になれば幸いです。

※ルールや手続き方法は、州または市によって異なりますので、今回は私たちが住んでいるCity of Vancouver、かつ2025年入園(2024年に手続き)のタイミングで我が家はどうだったかという一例としてお読みいただければ幸いです。また、ルールは変更になる可能性も十分にあるので、最新の情報はお住まいの市のウェブサイト等を確認されることをお勧めします。

Kindergartenに入園するタイミング・年齢

バンクーバーがあるBC州では、公立に行く場合は5歳からEelemetnary School(小学校)附属のKindergarten(幼稚園)に入り、そこで1年過ごした後にそのままElementary School(小学校)に上がるという流れが一般的です。ちなみに、Kindergartenは厳密には義務教育ではないようですが多くの家庭がこの方法を取っているようです。

年度始まりは9月で、Kindergarten入園の対象はその年の1月~12月の間に5歳になる子どもです。つまり1月~8月生まれの子は5歳で入園し、9月~12月生まれの子は4歳で入園して入園後に5歳になるという感じです。日本と違って学校の年度期間と対象誕生日期間がずれているので少しややこしいですね。

うちの場合は、渡航した年は4歳でKindergartenの年になるのは渡航の翌年だったので、まず1年はデイケア(保育園)に行き、1年後からKindergartenへ上がるということになりました。カナダの前に住んでいた国では4歳からReception、5歳からYear 1という仕組みだったので学年が1年遡った形なりました。

Kindergartenの学費について

親が留学生として学生ビザで滞在している場合や、ワークビザで働いている場合は、公立の学校に通う子どもの学費はカナダ人と同様に無料になります。うちはこのケースでしたが、「子どもが留学で親はビジターで帯同する」という形で親子留学されている家族は、無料ではなくKindergarten/小学校に学費を払っているのかなと思います。

バンクーバーのデイケアは費用がとても高いので、渡航時期の子どもの年齢や学齢によっては(5歳未満でいくか5歳以上の年で行くかで)、全体的な費用計画も結構変わってくる気がします。

 >>過去記事:バンクーバーでの家族生活は毎月いくらかかる?

どのKindergartenに通う?Catchmentとは?

バンクーバーの公立小学校附属の幼稚園の場合は、どのKindergartenに通うかの選択肢の取り方は大きく分けて3パターンあるかなと思います。

通常の通学区(Catchment)の幼稚園に通う

日本の小学校と似ていて、バンクーバーではCatchment(通学区)という概念があり、基本的には住んでいる家の住所によってどのKindergartenに通うかが自動的に決まります。どのエリアがどのCatchmentに入るかは、市のサイトで見れます。定員がいっぱいの場合は、抽選や、空いている他のCatchmentの学校に割り振られる場合もあります。

エリアやそれぞれの小学校によってRatingに結構差があったり、特色があったりするようなので、子どもの学校の環境を気にする場合は、住む家を決める前に調べておいた方が後でギャップがないかなと個人的には思います。うちの場合は、カナダの幼稚園や小学校の様子もあまりわかっていないということもあり、学校のレーティングなどを事前に見て、他の要素も組み合わせつつ、この辺なら安心だろうと住むエリアを学区である程度絞って家を決めたという経緯がありました。

 >>過去記事:バンクーバーの部屋探し ~家族渡航の我が家の場合~

(再掲)Catchmentや各学校のレーティング情報が見れるサイト

1.BC州のElementary SchoolのRanking

Elementary School、Secondary Schoolの評価スコアやESL(英語クラス)参加者の割合が載っている下記のサイトがあり、とても役に立ちました。

2.学区(Catchment)のMap

下記サイトで地図やリストで小学校の位置と学区の境界線などが見れます。

Kindergarten District Choice Programsの幼稚園を選ぶ

バンクーバーでは、通常のCatchment(通学区)ベースの申し込みのほかに、Kindergarten District Choice Programsというものもあります。

Choice Programsとは、通常の住んでいる住所に基づいた通学区の学校ではなく、特定のテーマに特化した教育プログラムを提供する学校に申し込むことができる仕組みです。例えば下記のような区分けの学校があります。これらはCatchmentに関係なく申し込みができますが、人気がある学校も多く競争率が高いので必ず入れる保証はないため、まずはCatchmentベースの方に申し込んでから、その上でこちらを申込み、Choice Programの学校に入れることになったらCathmentの学校には行ないという連絡をするというルールになっているとのことです。

  • Indigenous Focus School: 先住民の文化・歴史を尊重し、包括的教育を実施。
  • Early French Immersion:  授業の多くがフランス語で行われ、英語とフランス語のバイリンガルを目指す。
  • Early Mandarin Bilingual: 授業の多くが中国語で行われ、英語と中国語のバイリンガルを目指す。
  • Montessori: 子どもの自主性と探究心を重視し、自分のペースで学ぶ教育法。
  • Fine Arts: 芸術的な表現力や協働力、問題解決スキル、コミュニケーション能力を育むことを目的とした教育プログラム。

越境して違う通学区の幼稚園に通う

クロスバウンドリープログラム(Cross-boundary Program)という、 通学区外の学校に通うことを希望することができる制度もあります。こちらもChoice Programsと同様、通常のCatchmentの学校へ申し込みをした上で、その後に申し込みをします。

Catchmentの学校がいまいちの時や、実は別の学校の方が近いという場合には、通学区外の学校へ申込み可能なのは便利かなと思います。一方で、Catchment内の子どもの申し込み受け付けを締め切った後の空き枠での申し込み受付になるため、既に通学区内の子どもたちだけで定員がいっぱいの幼稚園には入るのが難しいのと、空きがあっても定員や抽選ありで必ずしも入れる保証がないのが厳しいところです。こちらに申し込んで入れなかった場合は、元の通学区ベースで決まった小学校の附属幼稚園に通うことになります。

Kindergartenの申し込みタイミングとスケジュール

私たちの時の手続きのスケジュールは、下記のような感じで案内されていました。例年同じようなスケジュールで動いているようです。我が家の、申し込み後の実際の流れは別途説明します。

タイミング流れ
入園する前年の11月1日~1月末Vancouver School Board(VSB)のサイトから、対象Catchment(通学区)のElementary Schoolへの申込み

※子どもがカナダ生まれでない場合、親がカナダ市民権もPRも持っていない場合は、オンラインで直接学校へ申し込みではできず、NWC(Newcomer Welcome Centre)というところに登録し、そちら経由での申し込みが必要。
1月初旬~2月初旬Kindergarten District Choice Programsの学校に申し込みたい場合はこの期間で申し込み。
2月初旬~2月末越境して違うCatchmentの学校に行きたい場合(Cross-boundary Program)は、この期間で申し込み。
2月中旬~1月末に申し込んだCatchmentの学校からステータス結果の連絡
2月初旬~4月末もしCatchmentの学校が定員オーバーだった場合、その小学校が近隣の学校と調整し、代わりの行先を確保する。
~4月末全員の行く学校が決まる。
9月入園。Kindergarten開始。

Kindergartenの申し込みと当日の様子

我が家は通常通りCatchment内の公立小学校附属のKindergartenに申し込みました。うちは夫婦二人とも日本人、PR無しなので、申し込み受付が開始になる11月になった時点でNewcomer Welcome Centre(以下NWC)のウェブサイトでOnline Registrationをして、その後そのままオンラインでKindergarten申し込みのアポを取りました。事前登録はオンラインでできますが、実際の手続きはアポを取ってNWCのオフィスまで子どもを連れていって行う必要があります。申し込みは11月からですが、出生証明などの必要書類などもあるので、事前に準備しておくとタイムラグ無しで手続きできるかなと思います。

なお、うちはアポが取れたのは2週間後だったので、その日に子どももつれて家族3人で行ってきました。

NWC入口

NWCの場所は、South Vancoverの少し不便な場所(1000 East 59th Avenue Vancouver, V5X 1Y7)でした。車を持っていない我が家はバスに乗って行きました。NWCはバス停から7-8分歩いたところにあるWalter Moberly Elementary Schoolという小学校の建物の中に併設されています。勝手に入っていいのかな?とも思ったのですが、入口の所に看板が出ていたのでドアを押すと鍵もかかっておらず入れました。建物内のサインに従って校内の廊下を歩いていくとその先に待合室になっている教室があり、朝一のアポだったのですが、我々のほかにあと2組ほどの親子が待っていました。

NWC待合スペース

待合室には遊ぶおもちゃや本などが置いてあり、子どもも飽きないようになっていました。実際の手続きは正式なスタッフが窓口で行うとのことでしたが、うちの家族を手続きする担当の人がまだ来ていない(アポの時間すぎているのに...まあ、こういうのはカナダっぽい)とのことで30分ほど待ちましたが、その間に、ボランティアの方がThe Settlement Workers in Schools (SWIS) Program という支援サービス内容の説明をしてくれました。日本語はありませんでしたが、中国語、広東語、タガログ語、韓国語、パンジャビ、ヒンディー、スペイン語、ベトナム語などのパンフレットが用意されていました。さすが多民族国家。

NWCカウンター

時間をつぶしているうちにようやく担当スタッフが出勤し、呼ばれました。案の定、遅刻した謝罪の一言もなく、手続きが始まりました。手続きは待合室の教室を出たところにある窓口のようなところで行われましたが、とりあえず親1人でいいと言われたので、妻が子どもは遊ばせたまま、最初は夫だけが窓口に行って必要書類(後述)の原本を出して、スタッフの方が確認したりコピーしたりの手続きをしていました。途中で子どもを呼ぶように言われ、顔の確認がありました。

書類の確認が終わると、次は2月中旬頃に小学校から結果が行くからそれまでは待つようにとだけ言われて、手続きは終了しました。

うちのCatchmentの小学校は定員オーバーで全員入れないかもと近所の人に聞いていたので、入れなかった場合はどうなるのか?と聞いたところ、その小学校が代わりの小学校(幼稚園)を探して連絡することになるから親側が探す必要はないとのことでした。また、早い者勝ちではなく11月~1月末までの期間の申し込みをまとめて処理するので申し込み順は関係ないとのことでした。

待ち時間が30分、実際の手続きが20分くらいで、合計1時間くらいという感じでした。

申し込みに必要な必要書類

必要書類は以下の通りでした。これらは事前のオンライン登録時にアップロードしていたのですが、原本持参が必要だったので、すべて原本を持っていきました。

必要書類我が家が出したもの
Proof of Residence in the City Of Vancouver賃貸契約書、BC Hydroの電気代請求書(住所記載のもの2つ)
Proof of Student Birthdate and Parental Information出生証明書

※うちの子どもはヨーロッパ生まれなのでオリジナルも英語だったためその国のBirth Certificateがそのまま使えたが、英語・フランス語以外の場合は、正式な翻訳者の翻訳添付が必要。
Proof of Status in Canada (Both parente(s) and Student(s))・両親と子どものパスポート
・両親と子どものカナダ滞在のステータスを示す証明書。我が家は妻のStudy Permitと、夫と子どものVisitor Recordを提出。
・妻のカレッジのProof of Enrollment(カレッジ発行の在学証明書)
Student Immunization Records出生から既に受けた予防接種の履歴。

※うちの場合、前に住んでいた国で必要なものは既に受けており、英語でその接種履歴一覧があったためそちらを提出しました。これも日本からの場合は書類が日本語だと、正式な翻訳者の翻訳添付が必要。ただ、出したもののほとんど見ていなかった印象。

※必要書類について詳しくは、こちらのNWCのサイトをご確認ください。(英語)

入園申し込みをした後の流れ

11月中旬にNewcome Welecome Centre(NWC)で申し込み手続きをした後は、下記のような流れで進みました。

タイミング流れ
1月17日小学校から、NWCからの受付を受け取ったとメールが来る。Registration LetterのPDF添付。そこには下記が記載。
・定員よりも多い申込があるので全員はカバーできない可能性がある。
・既に姉妹兄弟が通っている子どもが優先、その後は抽選。抽選に漏れた人はWaitlistに入る。
・1月末以降の申し込みは、兄弟姉妹がいても優先なくWaitlist行き。
・越境申込みを考えている人は、多くの近隣の学校(学校名記載あり)も恐らく定員いっぱいなので注意するようにという注意書き。
2月12日小学校から結果がメールで連絡。抽選に当たって無事入れることが連絡あり。メール受取から2日後までにConfirmするように、返信がない場合はWaitlistの人にスペースが渡されると記載。メールで返信。
5月初旬メールで、小学校から子どもの性格や特徴、幼稚園に期待することなどの情報を入力するオンラインフォームの提出依頼。
5月後半親子参加でインフォメーションセッションの開催(平日昼間)。

※10人単位で、子供を連れて1時間ほどのセッション。5分程度の簡単な説明とあとは子どもが遊ぶ時間。顔合わせと学校の雰囲気に慣れさせるための目的のよう。文房具やらが入ったWelcomeパックが渡される。
6月末最初の2週間の予定(Gradual Entry)や学校の休みの予定などが記載されたスクールカレンダーがメールで送られてくる。
7月初旬行く幼稚園のPAC(Parent Advisory Council)から、同じ学年の親向けのWhatsAppグループが作られたという案内がメールであり(全体とクラスごとの2つのグループ)、それに参加。
8月中旬PAC主催で、カジュアルに顔合わせできるよう近くの公園でSummer Social Picnicの企画(自由参加)

まとめ

ということで、我が家の場合のバンクーバーでのKindergartenの申し込み方法と流れでした。うちも当時情報を色々と自分たちで調べて全体像を理解するまでに時間がかかったので、事例まで備忘録まで記録しておこうと思いました。行きたいCathcmentの学校が定員オーバーだったのでドキドキしましたが、今回はラッキーにも抽選にあたり、歩いて行けるKindergartenに入れて一安心でした。違う学校になって通学が遠くなったり、希望しない学校になってしまうと送り迎えも大変だなと心配していたのでよかったです。

バンクーバーの公立だけでも色々と選択肢があるし、市によって仕組みも違うので人によっていろいろなパターンがあるだろうなぁと感じました。

また、住んでいるエリアの近くのCatchmentが定員オーバーの小学校ばっかりだったので、渡航タイミングが重要だったなと後から感じました。私たちは、11月~1月の正式申し込み手続き期間に間に合うスケジュールでカナダに渡航していたのでスムーズでしたが、渡航がもし2月以降だったり年度が始まってからの途中編入というタイミングで渡航していたら、希望の学校に入れず、もっと大変だったかもなと思いました。

詳細まで書いたのでかなり長々となりましたが、今後、家族留学で渡航される方等の参考になれば幸いです。